メタバース効果測定指標【KPI編】

KPI

メタバースにおけるKPIの重要性

メタバースでのKPI(重要業績評価指標)は、企業がバーチャル空間での活動効果を把握し、投資対効果を評価するための重要な指標です。滞在時間、ブランド認知度、顧客エンゲージメントなどが主要な指標として挙げられますが、メタバースのKPIはいまだ発展途上です。従来の方法にとらわれない新しい発想で実験していくことが求められています。

ひとことで「メタバース」と言っても、VRが必須のもの、スマートフォンのみでアクセスできるものなど「メタバース」という言葉が多様化しています。目的に合わせたプラットフォームの選定、KPIの考え方が必要になります。

メタバース効果測定指標
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    従来のデジタルマーケティングの指標で、メタバースのKPIを考えることは適切ではない理由

    メタバースはまだ発展途上の領域であり、ユーザー体験やビジネス活用の在り方が従来のデジタルメディアとは大きく異なる可能性があります。そのため、既存の指標にとらわれず、メタバースならではのKPIを模索していく必要があります。

    • メタバースの特性に合わせた指標
      VRを使用するメタバースは非常に没入感のある体験を提供します。「体験」が価値となりますので、従来のように「表示回数」や「来訪者数」のような数を追うKPIのみでは不十分です。リアルイベントの指標と考え方は近いのかもしれません。

    • ユーザー間のコミュニケーション
      メタバースでは、アバターを通じてユーザー同士がリアルタイムにコミュニケーションを行います。このため、相互作用や関係性の構築も重要な評価軸となります。

    • 新たなビジネスモデルの評価
      バーチャル空間内での商品販売やイベント開催など、新しいビジネスモデルが誕生しています。これらの効果を評価するには、新しいKPIの考え方が必要です。

    メタバースプラットフォームを考える切り口

    KPIを考える前に、プラットフォームの活用の違いについて、知っておく必要があります。この違いは、メタバース企画に影響し、KPIにも影響します。ここでは、6つのプラットフォームについて書いていますが、実際にはZepetoのようなZ世代に人気のスマホメタバースも台頭しています。それらをさまざまな切り口でポジショニングし、目的に合わせて使い分け、KPIを設定する必要があります。

    メタバース比較
    • ゲーミングプラットフォームであるFortnite、Roblox、ソーシャルVRとしては最大のVR Chatに関しては、巨大なユーザーベースがあります。コミュニティがあります。このような、ユーザーベースを期待して活用する場合、すでにそこにいる人達に向けて企画を考える必要があります。特に、VRや高スペックパソコンが必要なプラットフォームは、グラフィックが美しく、優れた没入感ある体験を提供できますが、新規にそのプラットフォームに人を集客するのは難しくなります。既存ユーザー向けの企画を考えるためには、そこでコミュニティを作っている人をプロジェクトメンバーに加えるなど「コミュニティの文化」を理解することが欠かせません。

    • プラットフォームにいるユーザーを対象にした企画を考える際には、「ユーザーベースは多い方が良い」ということになります。しかしそうは言っても、メタバースの利用率は10%以下ですので、マス的な発想ではなく、どのような体験を提供したら、どのような効果がでるのか考えKPIを設定する必要があります。

    • コミュニティがある場合、初心者の人が来たとしても、コミュニティが使い方などを教えてくれます。ですので、詳細なマニュアルは不要と考えることもできます。

    • 一方、対照的に分かりやすいのはDOOR。圧倒的なアクセシビリティの高さで、SNSユーザーに対して簡単に空間体験を提供できます。この場合、メタバースはコミュニティを作ったり、居場所を求めるものではなく、SNSを見ていたら、面白そうな情報が流れてきたので、ポチっと押してみた。という導線が可能です。

      これは、つまりSNSマーケティングの3次元版です。ただ、それゆえに、なぜ3次元である必要があるのか?を考える必要があります。3次元以外にも、メタバースはリアルタイムコミュニケーションができます。そのような特性を活かし、SNS連動で大量に告知できます。

    • Spatialのポジションは、主にブラウザからの誘導であり、このポジションの良さは、「Webサイト連動企画」が可能なことです。DOORにとって「SNS」の位置が、Spatialにとって「Webサイト」になるというイメージです。そのため、SNSマーケティングと、Webマーケティングの違いと同様の特徴があります。Webマーケティングでコンスタントに集客できているページから、Spatial体験へリンクしてあげることで、イベントのような打ち上げ花火的な使い方ではないメタバース運用が可能です。

    メタバースでの顧客エンゲージメントの測定方法

    メタバースでの顧客エンゲージメントの測定には、従来のデジタルマーケティングとは異なるアプローチが必要です。以下の方法が主に用いられます。
    • アバターの滞在時間
    • 仮想イベントへの参加率
    • バーチャル商品の購入数
    • ユーザー間のインタラクション頻度

    さらに、ユーザーフィードバックで体験の質を評価することも有効です。これらの指標を組み合わせることで、メタバース空間での顧客エンゲージメントを包括的に理解し、マーケティング戦略の最適化につなげることができます。メタバースマーケティングはまだ発展途上の分野であり、測定方法については共通認識が確立されていないため、継続的な検証と改善が必要です。

    メタバース内でのブランド認知度向上施策

    メタバース内でのブランド認知度向上には、没入型体験の提供が重要な役割を果たします。企業は独自のバーチャル空間を構築し、ユーザーに魅力的なインタラクションを提供することで、ブランドの印象を強化できます。

    例えば、ファッションブランドがメタバース内でファッションショーを開催し、限定アイテムを販売するなどの体験を通じてブランドイメージを高める取り組みが行われています。また、グローバルな顧客層へのリーチが可能なため、世界規模でのブランド認知度向上が期待できます。

    メタバースイベントの効果的なKPI設定

    メタバースイベントの効果を測定するためには、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定が欠かせません。主要なKPIとしては以下のものが挙げられます。
    • イベント参加者数
    • 滞在時間
    • ユーザーエンゲージメント率
    • 仮想アイテムの販売数

    例えば、ドン・キホーテが実施した「METAドンキ」イベントでは、3日間の来場者数を主要KPIとし、目標値の約1.9倍を達成しました。また、メタバース空間内での顧客の行動データを収集・分析することで、より効果的な活動方法を見出すことができます。SNSでの反響や口コミ効果も重要な指標となり、イベント後のブランドロイヤルティ向上にもつながります。

    効果的なKPI設定により、メタバースイベントの成功度を定量的に評価し、継続的な改善につなげることが可能です。

    メタバースのKPIに言及した成功事例

    METAドンキ

    「ドン・キホーテ」は、メタバースプラットフォーム「DOOR」を活用して「METAドンキ」を展開しました。イベントは3日間に渡り、商品オークションやクイズ大会などを実施し、SNSでは「楽しかった」という参加者の声が溢れました。

    ドン・キホーテは、新たなファン作りの方法としてメタバースを選択し、SNSを超えた体験を提供しました。イベントは、最大同時接続数が数百人に達し、目標の約1.9倍の来場者数を記録しました。イベント後には、参加者のSNS投稿が拡散され、盛り上がりを見せました。
    CNET Japanの詳しい記事はこちら

    日産自動車<日産サクラ>

    日産自動車の新車発表イベントも成功事例としてあげられます。2022年5月、日産は新型軽自動車「日産サクラ」のお披露目会をリアルとメタバースプラットフォーム「VRChat」のハイブリッド形式で開催しました。このイベントでは、世界中からの参加者数やメタバース上での試乗体験の満足度などがKPIとして設定されました。

    また、一般的なメタバースのKPIとしては、アバターの滞在時間、仮想イベントへの参加率、バーチャル商品の購入数、ユーザー間のインタラクション頻度などが重視されています。これらの指標を活用することで、企業はメタバース戦略の成功度を定量的に分析し、継続的な改善につなげることができます。