MRI三菱総合研究所によれば、2023年3月の発表で、国内メタバースの認知は83%、実際の利用者は5%程度となっています。出典: https://www.mri.co.jp/knowledge/column/20230330.html
1万人に対するアンケート調査で、メタバースを利用したことあがると回答したのは546名であり、さらに「月1回以上利用」が30%、「月1回未満」が30%、残りは過去利用していたが現在は使っていない。ということでした。また、メタバースを利用するデバイスは、年齢が若くなるほど「スマートフォン」が圧倒的なシェアを占めます。
一方、情報通信政策研究所が発表した「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会」で議論されていた課題について、トピックをまとめました。出典: https://www.soumu.go.jp/main_content/000858216.pdf
1.技術的課題
リアルタイム通信の要求に応えるための帯域幅の確保。
多数のユーザーが同時にアクセスする環境でのパフォーマンス維持。
高フレームレートと低遅延の維持
- VR体験の没入感を損なわないフレームレートの確保。
- ユーザー間のインタラクションにおける遅延の最小化。
軽量な3Dデータ圧縮技術
- 効率的なデータ転送を実現するための新しい圧縮手法の開発。
リモートレンダリングとMECレンダリング
- ユーザーに近い場所でのデータ処理を通じたレスポンス時間の改善。
- サーバー側での高度な処理を可能にする技術の採用。
- ネットワークエッジでの計算処理を活用するMECの展開。
エッジサーバの割り当てとデータ処理の最適化
- ユーザーに近い場所でのデータ処理を通じたレスポンス時間の改善。
- ユーザーの安全を守るセキュリティ対策の強化。
- プライバシーに配慮したデータ処理方法の確立。
- イベントなどで大人数が参加する際の管理・運営技術の開発。
2. 社会・法的課題
- デジタルディバイドの解消とインクルーシブなアクセスの提供。
- デジタルツインの実装における共通データフォーマットの確立。
- 異なるプラットフォーム間でのデータ共有の促進。
3. コンテンツとユーザーエクスペリエンス
- さまざまなニーズに合わせたコンテンツの提供。
- アクセシビリティガイドラインに沿ったコンテンツの開発。
- 教育目的に適したアバターのデザインと利用。
- 新しい働き方としてのバーチャルオフィスの普及。
- コミュニティを活用したプロジェクトの推進とデジタルスキルの向上。
- 幅広いユーザー層に対してメタバースの魅力を伝え、参加を促すための取り組み。
- メタバースへのアクセス手段としてのスマートフォン利用の普及。
- デジタルスキルが低い層を対象とした教育プログラムの提供。
- メタバースの基本的な使い方から応用技術までを学べる教育プログラムの開発。
- すべての年代や背景を持つ人々がメタバースを利用できるように、機会の平等を図る。
これらの課題とトピックを見てみると、メタバースが直面している多面的な状況が分かります。技術的な側面では、ネットワークのパフォーマンスやセキュリティ、大規模な参加者管理が重要な課題です。社会・法的な側面では、デジタルディバイドの解消、データの標準化、そしてプライバシー保護が求められています。コンテンツとユーザーエクスペリエンスに関しては、多様性とアクセシビリティの確保、教育と訓練での利用、バーチャルオフィスや市民参加型プロジェクトの推進、そして広い層への利用促進が主要な議論点となっています。
これらの課題に対する解決策を見つけることは、メタバースの持続可能な成長と普及にとって不可欠です。それには、技術開発だけでなく、教育、政策立案、そしてコミュニティビルディングの努力が必要ですね。
17Campusでも実証実験を行っていきます。